布留川 勝の「人材育成の現場!」日記
企業・団体の「グローバル&自立型人材」育成に携わるグローバル・エデュケーションの代表、布留川が人材育成の現場で日々感じたことなどをまとめます。 BLOG内検索
GlobalEducationandTrainingConsultants代表取締役布留川 勝カーネギーメロン大学 Institute for Software Research International Program Director

2006年09月

コロンビアビジネススクールのFundamentals Of Management

2006年09月21日
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6月下旬にコロンビアビジネススクールのFundamentals Of Managementに1日だけ参加してきたのでレポートしたい。このコースの副題は、Highlights of an MBAとなっていて、位置づけとしてはエグゼクティブ向けのMini-MBA的な内容になっている。

http://www0.gsb.columbia.edu/execed/open/programs/fmba.cfm



スケジュール(http://www0.gsb.columbia.edu/execed/open/outlines/fmba_grid.pdf)を見ていただくとわかるが、2週間でリーダーに必要な経営学のエッセンスを一通りカバーするようになっている。今回の参加者は15名で日本人参加者は4名(商社2名、総合電機1名、個人1名)であった。



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今回の参加者の国籍分布は正確には把握していないが、2004年の記録によると、参加者の国籍とポジションは以下の通りである。

日本9名、アメリカ8名、デンマーク3名、スペイン2名、スコットランド1名、イタリア1名、チェコスロバキア1名、ポーランド1名、ベルギー1名、オーストラリア1名、フィリピン1名、シンガポール1名 

CEOやマネージャクラスが全体の70%。 非管理職者が参加していたのは日本のみ。

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当日は朝7時に私の宿泊しているホテルまで、担当のSteve Murphy氏が迎えに来てくれた。車中、コースの内容などレクチャーを受けながら現地に向かった。

場所はコネチカット州だが、マンハッタンから車で45分のDolce Norwalk(http://norwalk.dolce.com/)という研修施設である。サイトを見ていただければわかるが、研修施設としては周囲の環境も含め申し分ない。前々回にご紹介したスタンフォード大学もそうだが、米国のトップスクールは学習環境に対する配慮が行き届いていていつも感心してしまう。



私が参加したクラスは、Robert Bontempo教授による『Leading Transformational Change』という変革時におけるリーダシップをテーマにしたクラスである。クラスが始まるとすぐに教授より他参加者に私が紹介され、日本人参加者4名のグループに入るよう指示があった。このように日本人だけでグループを作るというのは稀なケースだ。



内容は、変革に対する圧力を計算式にして、いかに企業や組織の変革を戦略的に進めるか、である。計算式は、以下の通りである。



変革 = 不満足(D) × ビジョン(V)× プロセス(P)



この3つの要素の中でもっともパワフルなのが、不満足(Dissatisfaction)要素であり、これを分析し、現状維持のままだと将来起こりえる具体的な問題を予測し、リーダーとしてそれらを社員やメンバーと共有、共感、可視化できるかが重要、というという考え方をBontempo教授は強調する。



顧客からのフィードバック、新しい競合、ベンチマーキングなどの側面から変革の緊急度を明確にし、あるべき方向のビジョンと具体的な変革のプロセスを示すのがリーダーに求められる、ということをここで学んだ。私自身経営者として普段心がけてはいたものの、この計算式と不満足要素の使い方は大変刺激を受けた。



このように、普段なんとなく意識したり、気になっていることを計算式やチャートなどで構造化することによって、インスピレーションを受けたり、グループディスカッションで自分とは違う価値観や思考法に出会う。それが、ビジネススクール参加のメリットだろう。



それだけであれば、なにも海外で受講する必要はないが、上位ビジネススクールのエグゼクティブプログラムでは、グローバル企業からの参加者の多様な価値観や思考パターンをダイレクトに感じ、意見を戦わせることができる。多くの日本人参加者(特に本気で取り組んだ人達)の満足度が高いのは、そこを抜けてきたことによるDiversity(多様性)とスピードへの対応の自信がついたことでもあるのだろう。



ここ4回続けてグローバルリーダーの育成とエグゼクティブプログラムの位置づけについて書かせていただいた。

私の経営するグローバル・エデュケーションのミッションは『世界中の教育プログラムと企業、団体、個人の学習ニーズを結びつけ、グローバルに活躍する人々の能力開発を促進』することである。実際、私が出かけていったり、教育プログラムを持つ学校や個人が私に会いに来てくれたりすることを通して、日々新しいプログラムを探し続けている。米国のMBAやエグゼクティブプログラムに関しては、『どうせ学者の議論だろ、日本では使えないよ』というような懐疑的な見方や『MBAの退職問題』など課題があるのも事実である。

ただ、今回の米国出張で訪れたコロンビア大学、ニューヨーク大学、スタンフォード大学、UCバークレー各校におけるプログラムは、それぞれ私に『そうはいっても、日本人管理者のグローバルリーダー育成の研修機関としては現時点ではこれ以上のものはないな』と納得させるのに十分な質(プログラム内容、教授、参加者、施設)を持っていることを再確認した。また、それだけの経験のできる場でありながら、英語力の壁が大きく立ちはだかる現実も今後早急に対策を打つべきだと痛感している。皮肉なことに、多くのエグゼクティブプログラム参加者がプログラム終了後に猛烈に英語に取り組んでいるのだ。この問題についても今後このブログで私見を述べていきたい。



写真はSteve Murphy氏と教授陣



kazukon at 19:55

UCバークレー校におけるエグゼクティブ&MOTプログラム

2006年09月12日
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9月8日(金)にグローバル人材育成研究会の18回を開催したので簡単に様子をご紹介する。今回はUCバークレーのHaas School of BusinessよりAndrew Isaacs教授をお招きし、エグゼクティブプログラムとMOT(Management of Technology)に関する最新情報について講演いただき、私からは、グローバル人材の動向について解説させていただいた。当日は30社の人材育成ご担当者がご参加された。



MOTのランキング



Isaacs教授からMOTのランキングに関してわかりやすい説明があった。経営と技術大学院の両方のランキングが高い学校をまずMOTの上位校と評価する、という考え方である。セミナーではチャートを使用したが、結果として両方の大学院を持ち、且つ両方の大学院ランキングが高かったグループにはUCバークレー、MIT、スタンフォード、カーネギーメロンがあげられていた。



ジャパンパッシング



また、ここ4-5年続いていた米国上位校がアジアでは日本を通り越して、中国や韓国との関係を深めていたジャパンパッシングに関して、私がもっと日本に注目して欲しいという注文を出したが、教授もそろそろ状況が変わりつつあるのではないかという考え方を示してくれた。



グローバルリーダー育成のリソース



まさにそのことと関係があるのであるが、セミナー中、私が以前から主張を繰り返している日本企業は、欧米のビジネススクールをもっとグローバルリーダー育成のリソースとして使うべきであるという点についても、今回のセミナーご参加者の多くからポジティブな感想を頂いた。



グローバル人材育成研究会(http://www.globaledu-j.com/e/e6.html)では、今までハーバード、コロンビア、カーネギーメロン、そして今回UCバークレーの4校との研究会を開催したが、今後その他のトップ校もお招きしていく予定である。



写真左はセミナーの様子、右はAndrew Isaacs教授

kazukon at 19:43

グローバルリーダー育成機関としての米国エグゼクティブプログラム

2006年09月01日
6535b249.jpg6月から7月にかけてビジネスクールのエグゼクティブプログラムの調査もあり、米国(ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコ)を2週間回ってきた。今回改めて、グローバルリーダー育成の最前線は米国ビジネススクールだと再認識したのでレポートしたい。



私が、欧米のエグゼクティブプログラムがグローバルリーダー育成に有効であると考える理由は以下である。



1)プログラム参加者と教授がプロフェショナルかつ多国籍(後述するスタンフォードのSEP (The Stanford Executive Program)の場合30カ国以上)であること。研修プログラムの質を左右するのは、講師と参加者であり、その意味ではエグゼクティブクラスの研修でこれ以上の組み合わせは考えにくい。



2)変化とスピードのある経営に求められるコンセプチュアルな思考が鍛えられること。知識ではなく徹底的に思考力が求められる。



3)グローバルリーダーの手本のような参加者が多く、クラス内外での交流で彼らからダイレクトに学べること。



まず、参考までにエグゼクティブプログラムをわかりやすく説明すると、経営大学院が運営する通常10週間までの経営者、管理職を対象としたプログラムである。同じ経営大学院が運営するからかよく混同されることがあるMBAは、対象者は実務経験5-7年で20代後半の年齢層が中心で、2年間で経営学修士の学位を取得するものを指している。米国ではMBAは個人が自費で取得するのが一般的で、対照的にエグゼクティブプログラムの参加者は90%以上が企業派遣である。有能な管理者が最新の経営のノウハウを身につけたり、人脈を広げたりするのが主な目的であるが、多分にインセンティブ的な意味合いもある。要するに、役員、事業部長クラスへのフリンジベネフィット(給与以外の報酬)でもある。2ヶ月程度で500-600万円の参加費であるから、選ばれた本人は自分が功労者かつ今後も活躍を期待される人材と認められたことを実感する。



実際、今回コロンビアとスタンフォードのプログラムに参加してきたが、教授と参加者の有能さ、クラスルームや宿泊施設、食事の質は脱帽ものである。教授は米国、ヨーロッパのトップスクールの間で壮絶な争奪戦が行われているだけあって、自他共に認める世界のトップレベルである。また、MBAを教える教授陣で上位にランクされないとエグゼクティブプログラムの教授にはなれない。加えて、参加者は各企業のスクリーニングを通ってきているので、マネジメント経験や専門性、人間的な魅力も含めてみなAクラス人材である。

昨年のスタンフォードの上級管理者向けコースのSEP(http://www.gsb.stanford.edu/exed/sep/index.html)には、最新著書の『仮説思考』でも注目される内田和成(http://www.kaz-uchida.com/profile/profile.html)氏(前ボストンコンサルティング代表)などのトップコンサルタントも参加している。先日ご自身の経験をお伺いにオフィスにお伺いして話を伺った。内田氏の場合は、サバティカル(研究休暇)であったようで、普通の管理職の参加の位置づけとは少し違うが、コースの様子がわかる話を聞くことができた。昨年の参加者は108名で2クラスに分かれた。国籍は米国人1/3、ヨーロッパ人1/3、日本からは8名、その他はアジアからはシンガポール人の参加が目立ったようである。年齢層は30-40歳代が中心,50歳代が少しといったところで、大学の学長などの参加者もいたようである。氏によると、よく比較されるハーバードのAMPの参加者がIBM, シティバンクなどのエスタブリッシュメント系企業からの派遣が多いのに比べ、スタンフォードにはシスコシステムズ, インテルなどのシリコンバレーのIT企業からの参加が目立ったとのことである。



私が今回3日間だけ参加した今年のSEPも人数、参加者国籍はほぼ同様であった。内田氏が参加したクラスでも、某航空会社の会社役員の発言がとても目立ったようであるが、私が参加したクラスにおいても1名のドイツ人参加者がかなりのパートで存在感を発揮していた。経験に裏打ちされた論理展開で、非常に説得力がある。ここでも2・6・2の法則は通用するようで、2割の参加者が常にクラス内で発言の主導権を握り、2割はほとんど発言しない。残念ながらこの2割の中に日本人参加者が多く含まれる。残りの6割が内容によっては発言したりしなかったりといった様子である。トップエグゼクティブのクラスメートに囲まれる中で、自分の意見を堂々と発言し、すかさず反論に論理的に反駁するスキルの自信がないとなかなか挙手してディスカッションには入り込めない。しかも、言語は英語であるから日本人のようなノンネイティブには恐怖感があって当然である。クラスの様子はそれほど緊迫感があるわけではない。むしろ笑いも多くファシリテーターとしての教授がリラックスした雰囲気を作り出す。私は、すり鉢型になったクラスルームの最前列に座り発言しようと試みたが、残念ながら時間切れで不発に終わった。自分でトライしてみるとわかるが、発言の前に自分の意見をいくつかの角度から検証しているうちにほかの参加者が手をあげているのだ。エグゼクティブプログラムでは7-8割意見が固まったら手を上げ、発言しながら考えをまとめていくスキルが求められる。



今回弊社クライアントの役員2名もSEPに参加中であった。コーススタート2週目であったので、二人ともクラスが終わるとすぐに部屋に閉じこもり、ケースの読み込みがあるので食事の時にしか話ができなかったが、ネイティブでも全部読みきれないケースの読み込みはノンネイティブの日本人にとっては想像以上の苦痛を伴う。特に慣れないコース前半は苦しい。先々週、今回のSEPを修了し、帰国されたM氏が私と弊社担当者2名を食事に招待してくれた。M氏は現在3000名の社員を率いる52歳の社長であるが、弊社が準備した渡米前のSEP準備コースを激務の合間を縫って週末こなし、プログラムに臨んだ。海外留学・赴任経験のないM氏にとって2ヶ月間のSEPは、英語の壁が大きく立ちふさがる世界でもあったが、自分がそんな世界でも十分に通用することを認識できる貴重な経験でもあった。



食事をしながらSEPの様子を伺った。すばらしいユーモアの持ち主であるM氏は同席の人材開発担当のH氏と私たち3名を十分楽しませながら、英語力がネックになった状態でいかに工夫してこのプログラムをご自分のモノにしていかれたのかを語ってくれた。まさに痛快であり、『転んでもただでは起きないどころか、転んだところからもっと何かを求める』姿勢にこちらも勇気を頂き、今回コア人材としてのM氏がコア・グローバル人材として更なるステップを踏み出すきっかけになったことを確信し嬉しくなった。



それまで国内畑で活躍してきた40-50代の管理職がグローバルリーダー化するには、本人の意欲、柔軟な考え方、そのために自分を変える痛みに挑戦し、そのことに時間を惜しみなく使う姿勢が問われてくる。ただでさえ多忙な上級管理職が越えるハードルとしては結構高い。まして、40代も半ばを過ぎるともう無理だ、というホンネもしょっちゅう聞こえてくる。そんな状態に強烈なインパクトを与えられるのが、欧米のトップビジネススクールのエグゼクティブプログラムである。異質の世界、自分と同世代の多国籍クラスメートの価値観の相違、行動力、キャリア開発に対する強い意識を身近に体験し、本当の自分が見えてくる。日本の社会では見えにくい何かが… 実際、2ヶ月のプログラムを修了した参加者は、スキルや知識アップではなく『グローバルビジネスの苦手意識』という皮が、ひとかわ剥ける。



次回は、若手管理職を対象としたコロンビアビジネススクール『Fundamental of Management』の様子をお伝えしたい。



写真はスタンフォード大学のカフェで談笑するSEP参加者。







kazukon at 18:34
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