布留川 勝の「人材育成の現場!」日記
企業・団体の「グローバル&自立型人材」育成に携わるグローバル・エデュケーションの代表、布留川が人材育成の現場で日々感じたことなどをまとめます。 BLOG内検索
GlobalEducationandTrainingConsultants代表取締役布留川 勝カーネギーメロン大学 Institute for Software Research International Program Director

2010年03月

喋れる人材とグローバル人材

2010年03月30日
今週号の日本版ニューズウィーク誌に弊社のグローバル人材育成の取り組みが掲載された。内容は『「喋れる人材」育成も費用対効果の時代』というタイトルで、「The ROI on English」という切り口から、東京、ソウル、ロンドンでの現場取材を元に書かれた。私自身も参考になった最新情報なのでぜひ手にとって読んでいただきたい。



企業でのグローバル人材育成も英語研修もリーマンショック以来ようやく「本質的な部分」への取り組みが始まった。もう研修のばら撒きは許されない状況にある。



例えば英語研修で言えば、英語学習のコストを抑えるだけでなく、社員の自主性を伸ばしながら力をつけていける企業、一方で基礎的な英語力底上げに巨額の投資をしているにも関わらず、目に見えた成果が出てきていない企業がある。

それらの企業の違いは何か?



「英語」そのものに焦点を合わせるのではなく、本人が真剣になる『仕掛け』を用意することで、後は自動的に走り出すような仕組みを作っていることにある。



記事の冒頭で紹介をされたいすゞ自動車の総務人事部の吉岡氏はご担当者としてグローバル人材育成コースを企画され、自らも参加された。

その研修を通して、「英語力を磨き、自分をグローバル化しなければまずいという危機感」に駆られ、11ヶ月後には、555点だったTOEICは1年後に815点になった。

今、現在もイキイキとそして精力的に自らのスキルアップと社員の英語力強化、グローバル化に邁進されている。



近年のグローバル展開の加速と企業規模を考慮に入れると、人材のグローバル化が大幅に遅れた日本企業は岐路に立たされている。最近企業の経営陣とディスカッションする機会も多いが、危機感は日増しに高まってきている。逆に、日々の業務に追われ、多忙を極めている現場の管理職はあまり事の重大さに気づいていない。。あるいは、あえて気づかないふりをしているのかもしれない。20代から30代前半の若手リーダー層はその点に敏感に反応してきている。

そうした層の『やる気に火をつける』ことから本当に必要とされる英語で「喋れる人材」、「グローバル人材」の育成につながると確信している。



この記事は英語力にフォーカスしたものであるが、「英語力はグローバルなビジネス環境で必要な数ある条件の一つに過ぎない。熱いビジョンとそれを具現化する論理的思考、ぶれない決断力などグローバル人材のOS(基本ソフト)ともいうべき基本条件をそろえることが大前提」という私の主張もちゃんと取り上げてくれた。

ネットで見つけて頂き、私を取材してくれたニューズウィーク井口景子氏に感謝。

kazukon at 10:57

Earth Workers

2010年03月26日
Earthworkers











先週の土曜日に1年間のグローバル人材育成研修の成果発表として役員へのプレゼンテーションがあり私も参加した。



タイトルの「Earth Workers」は、研修受講者の1グループが掲げたプレゼンテーションのタイトルである。

このグループメンバーが作った造語であり、辞書には掲載されていないが、

世界中どこでも働ける人々』という意味が籠められている。

プレゼンテーションではそうした人材をマネージャーとして育てていくことで、

グローバル化の展開を加速させていくことの決意が表明された。



今、企業の中核人材が問われているのは、『世界中どこでも働ける人材』かどうかである。



『世界中どこでも働ける人材』すなわちこのような人材である、



自立していて、軸があってぶれない。

ビジョナリーで柔軟性に富み、

ロジカルかつクリエイティブで全体を俯瞰できる思考力。

そして、状況に応じて最も効果の高い

コミュニケーションのツールを使いこなせ、

それらを表現できる英語力を持つ






ちなみにこの研修では、今年度初めて韓国・メキシコ人を含む多国籍での研修となった。

今回のプレゼンテーションでは、皆、16名でハードだが楽しい1年間を仲間と共にし、社長はじめ8名の役員の容赦なくかつ本質を突いた質問にも堂々と答え、

全員が大きくグローバル人材ととして大きく一歩を踏みだしたことを印象付けた。



成果発表後の懇親会で参加者の一人がこのような感想を述べてくれた、

この1年は、10年分の学びを得たような感じでした



ジョン・アダムズ(米国第2代大統領)の言葉がある。



教育には二種類ある。

一つは生計の道を教えるもので、

もう一つは生き方を教えるものだ。』




このグローバル人材育成研修は、スキル・知識を身につけるだけでなく、

後者の「生き方を教える」ものともなっていると感じた。  



写真は当日の様子。

kazukon at 12:56

ハラスメントの実態と対策

2010年03月18日
DSC00675















今週火曜日に弊社パートナー講師の本田勝嗣氏をお招きし、G研(グローバル人材育成研究会)プレミアム分科会を開催した。プレミアム分科会は、参加人数は最大6名までで、場所は弊社のオフィスで行っている。

本会は通常20~40名のご参加であるが、分科会では人数を少なくすることで、1)講師との距離感が近くなる、2)ご参加者同士がより腹を割って情報交換できる というメリットがあり好評である。



今回は定員の6名のご参加であった。



内容的にはセンシティブであるので開示できない部分もあるが、常識では考えられないような、パワー/セクシャルハラスメントが実在することを再認識した。



本田勝嗣氏のセミナー内容は、大きく分けて以下2つの要素から構成されていることが特徴である。



1)ハラスメントを防止するコミュニケーション(褒め方・叱り方)

2)訴訟事例に焦点を当てたリスクマネジメント




大手企業はそのための対策をとっているが、1)と2)の両面からの対策を万全にしているケースは少ない

また、ハラスメント防止やリスクマネジメント研修が、コーチングなどのコミュニケーションスキル研修と結びついていない例がほとんどである。

弁護士などの専門家によるリスクマネジメントの講義では、コミュニケーションについて触れられることはほぼなく、同時にコーチングなどのコミュニケーションスキル研修では、講師に経営や管理経験がない場合がほとんどである。



本田氏は、コミュニケーション研修の専門家であり、かつ経営者としてのご経験や、中小企業診断士国家試験基本委員を務めておられるご経験などから、訴訟から企業を防衛するノウハウにも詳しい。



今回は私もオブザーブすることで、4時間のセッションという限られた時間ながらも、ハラスメントの実態と企業リスク、そして日々のマネジメントを通しての対策について、概略を理解することができた。



何か大きな事件が起きることをきっかけに研修を始めるのではやはり手遅れである。後手後手になるとそのコストは、損害賠償額などの目に見える部分だけでなく、ブランドイメージ低下、社員の心の傷、モチベーションの低下、など膨大になる



改めてリスクマネジメントの重要性と、対策に向けての研修のあり方を考えさせられた。



写真は当日の様子。



kazukon at 18:42

賢いグローバル人材面展開

2010年03月13日
FT























グローバル人材育成に関して、私がもったいないな、と思う制度を持つ企業が多々ある。

それはMBA派遣と英会話研修のコンビネーションである。あまりに両極端に走りすぎている。

ごく少人数の若手をビジネススクールに派遣しMBAを取得させる。その他の社員には英会話研修を受講させる。これで予算規模は5000万円以上は確実である。

これで果たして投資効果が見込まれるのか?

私にははなはだ疑問である。



MBA派遣に関しては1千万円以上の留学経費と留学中の人件費に加え、仕事をしていないわけであるから機会損失コストを考えれば1名5000万円以上の投資である。

そして、二人に一人は辞める

元々欧米ではMBAは個人のキャリア開発として使われており、企業派遣の例はむしろまれだ。こうした違いが企業のねらいとミスマッチを起こしている。



英会話研修に関しても、見直しをする企業が急増している。

理由は、やはり投資効果の低さである。週1回2時間のレッスンを半年続ける。

受講者はその2時間のみ英語を学習する。半年で50時間程度である。

週1回2時間以外にも自己学習すべきだが自発的に取り組む社員はごく一部である。

なぜ英語を学ぶのか、何を目指すか、日本以外の国の人材はどんなスキルとマインドなのかを考えず想像もせずただレッスンを受ける。

当然効果は期待できない。



1昨日、私が現場を訪れた企業は、次世代リーダーに積極投資している

1年間のグローバル研修をすでに3期終了し、50名弱が『個のグローバル化』へと力強く前進している

加えて現在受講中の第4期生16名が卒業すれば、60名強の次世代リーダーがグローバル化するわけだが、これは組織にとって大きなインパクトがある。

MBA取得者がごくわずかに社内に点在し、知らないうちに転職していってしまう制度との、社内への波及効果の差は自明だ



逆に今回訪れた企業では、同世代の優秀で次世代を担う仲間が各主要部門におり、

国内にいて仕事を続けつつ、週末学んでいる姿は周囲への影響力
もある。

そして、毎年継続していくことで層となり、厚みも増してきている。

まさに面展開かつ立体的にグローバル展開を担える人材が育っていく

ここに大きな意味がある。



この企業の場合は、研修が終わっても、フォローアップ研修があり、更に自分自身を高められる

今回はそのうち15名の卒業生が、フォローアップ研修としてグローバルビジネスの1日の流れをシミュレートしながら、スキルを統合的に運用する体験を持つプログラムを受講した。



この日、ニュージャージーでの7年の赴任から戻ってこられた方がオブザーブに同席されていたのでご感想を聞いてみた。



「私が赴任する前にこんな研修が受けられたら、現地での立ち上げがどれだけ違っていたかと本当に思いますよ」



赴任を経験された方が弊社のプログラムをオブザーブや参加されると多くの方から同様のご感想を頂く。



しかし、このようなグローバル研修の検討の際、研修後の処遇が難しいということで実現に至らないケースが多々ある。

例えば、研修後に海外赴任させるといったことを制度化できないということだ。



しかし、この企業では、最近では現地化を進める意味でも「本社から人材を駐在させずにリモートでマネジメントする、ケースがかなり増えてきていますよ」とのことであった。



ますます面展開でグローバル人材育成を推進していくことの意義と投資効果は高まっていると考えている。





写真はフォローアップ研修のひとコマ。

kazukon at 19:38

今なぜフィロソフィーなのか?

2010年03月10日
Philo2一昨日大手通信関係の企業にて、海外マネージャー向けのフィロソフィー研修があり現場を訪れた。



「企業理念」と訳されるフィロソフィーは、それぞれの企業がその企業である所以を凝縮した言葉である。



今回は弊社講師のDr.James Doughertyとその企業のフィロソフィー担当のA氏の2名が講師を担当した。

(写真は、James Dougherty、 A氏、私)

受講生は5カ国(米国、韓国、シンガポール、イギリス、中国)から6名が参加しており、今年度からの新たな試みである。



背景としては、各国オフィスがグローバル戦略を実行していくにあたって正しい判断をするためには、判断の拠り所となるフィロソフィーについての理解を高める事がまずは重要だと考えたからである。



Dr.James Doughertyの役割は、フィロソフィーとはそもそも何か?そしてグローバル企業の事例紹介だ。

A氏の役割は、自社のフィロソフィーの意味を咀嚼して、日々の行動に落とし込む上でのファシリテーションをされている。

2人は多くの打ち合わせを重ね、息がぴったりでそれがスムーズに参加者に伝わった事を感じた。

また、A氏からは心から自社のフィロソフィーにコミットしていることが伝わってきた。



先日のブログでも企業のグローバル化に向けて「制度作って魂入れる」ということを書いたが、A氏はまさに魂を入れていらっしゃる好例だろう。

私自身、リスクマネジメントの観点からも社員一人一人が「いざ」という時の判断の拠り所として、フィロソフィーをしっかり研修しておくのは必要だと考えている。



この企業がフィロソフィーをグローバル展開の大切な要素として切り出して、A氏が丁寧に魂を入れている姿には、心から共感する。



昨日・本日は、マネジメントスキルのコンテンツに入っているが、アテンドをしているディレクターの福田から、初日のフィロソフィーがしっかりと参加者一人一人のアウトプットの中に織り込まれているとの報告が来ている。



こうした研修はスキル研修のように、即日効果が出るものではなく、可視化しにくい

しかし、こちらの企業のように、丁寧にそして着実に一歩一歩を踏み出していくことで、数年後には社員一人一人の行動においてきっと大きな違いとなっているだろうと確信している。



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kazukon at 18:44

リーダー育成の戦略的パートナーとしてのビジネススクール

2010年03月08日
LBS





























4日に欧州のトップビジネススクールの一校である、The London Business School(LBS)より、 Adam Kingl氏とAmy Gatrell氏が来日し弊社でミーティングをもった。

Adam Kingl氏はエグゼクティブエデュケーション(経営者教育)の中でも3つのフラッグシッププログラムのうち、中堅及びハイポテンシャル(管理職、リーダーとして期待されている人材)向けの2つのプログラムのディレクターを担当されている。そしてAmy Gatrell氏はマーケティング担当としてアジアを中心とした顧客企業とのコミュニケーションを担当されている。



来日の目的は、「顧客企業のニーズをより深いレベルで知ると同時に、LBSの特徴を知って頂くための戦略的対話」だった。

今回初来日のお二人であったが、弊社との協働においてどのように顧客企業をサポートできるかといった、具体的な話となり、LBSとの連携が今後ますます強化できそうで、まさに戦略的対話が実現できたミーティングとなった。



LBSは、特に以下の3点で強みを発揮している。



1)リーダーシップ開発の強み



2)コミュニティ意識の強さ



3)多様性




リーダーシップ開発の強みとしては、1~2週間の短期プログラムにおいても360°フィードバックの実施や期間中及びプログラム修了後のコーチングによるフォローアップを重視しているところからも分かる。

実際、参加された方々も、「リーダーとしての自分自身を深いレベルで見つめ直すことが出来た。しかもそれをグローバル企業や政府系機関の多様なリーダー人材と共に行えることにその価値があった」、といった主旨のご感想を頂くことが多い。



そしてプログラムディレクターを始め、スタッフがプログラム期間中はもちろんのこと、事前・事後も参加者との対話を大切にしており、プログラムディレクター、教授陣、参加者間で一人一人の顔が見えるような配慮が細かになされており、そこから「コミュニティー意識」が高まる。



参加者、教授陣も国籍はもちろんのこと、参加業界も多岐に渡り、どこかの国籍・業界が支配的多数になることがない。こうした多様性も学びを促進させている。



翌日、5日は一緒に企業訪問をしたが、やはりビジネススクールの特徴、そして責任者の顔が見えてくると、より親しみを持って頂けた。



ビジネススクールの経営者教育プログラムは、「敷居が高い」、「費用が高い」、「求められる人材レベルが高い」といった点から導入に二の足を踏まれることがあるが、戦略的パートナーとして上手く取り込んで頂くと、リーダー育成の幅を広げる上で非常に有効なリソースとなる。



これからもG研やブログでトップビジネススクールの動向を紹介していきたい。



写真は私の右側がAdam Kingl氏、左側がAmy Gatrell氏



kazukon at 15:35

制度作って魂入れる

2010年03月03日
グローバリゼーションとその流れへの企業のかかわり方は、当然であるが、各社それ

ぞれ似て非なるものである。



その企業のグローバル化のフェ-ズやその時のトップの戦略によって、どの地域の優

先順位が高いのか、M&A、R&D,投資、人事制度、人材育成(国内とローカル)

など、トップとしては打たなければならない手は多岐にわたる。



近年、大手企業では社長が年頭あいさつでグローバル戦略の重要性を訴え、グローバ

ル人材育成にも言及する頻度が高くなっている。しかし、各社とも実行するプロセスで苦労

する。グローバル人材の定義、どの階層にどのような研修を行うか、国内で行うか海

外も考えるか、ローカル人材のグローバル人材化をどうするか、など課題は多い。





先週金曜日に、弊社クライアント(業界トップ)のグローバル人材研修(1年間)

のメンバーに、その企業の社長から直接語りかけるセッションがあり私も参加させて

いただいた。



M社長の話はわかりやすかった。現在会社がグローバル競争においてどんな状況なの

か、どの地域に今後力を入れるのか、なぜそう考えているのか、社員に何を期待して

いるのか、などわかりやすく、そして一方的ではなくインタラクティブに対話形式で

行った。



このような機会は非常に重要である。特に今回は研修がスタートして2カ月目であ

り、タイミングも絶妙である。





M社長にセッションの後お話を伺った。



若いころのお話をお聞きしたところ、ご自身はビジョン型であり、白紙に絵を描くこ

とが好きだ、とおっしゃられていた。



そして、その思いが強いからこそそれをすぐに実行に移す。



何度も大きな障害にぶち当たりながらも、考えに考え抜いて、道を切り開いていかれ

た。



構想力はそこでさらに磨かれていったと想像する。





私が提唱しているグローバル人材の中核の要素はビジョナリーシンキング(ひらめき

と構想力が相乗効果を出している状態)と一致する。





常々思うのだが、人材育成がうまくいかないのは、『制度作って魂入れず』だからで

ある。



参加するように指示されただけの研修生とマニュアル通りに内容をこなす講師で行う

研修は味気ない。



ただ時間が流れるだけでそこには思いもなく、成長もない。



今回はトップが本気で今後を背負う人材に熱きビジョンを持って語りかけるという、

制度作って魂入れる』貴重な現場に立ち会えた。

kazukon at 14:14
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