布留川 勝の「人材育成の現場!」日記
企業・団体の「グローバル&自立型人材」育成に携わるグローバル・エデュケーションの代表、布留川が人材育成の現場で日々感じたことなどをまとめます。 BLOG内検索
GlobalEducationandTrainingConsultants代表取締役布留川 勝カーネギーメロン大学 Institute for Software Research International Program Director

2015年07月

G研報告:部下を伸ばす上司、部下の足を引っ張る上司

2015年07月28日
先週、第115回グローバル人材育成研究会(G研)「部下を伸ばす上司、部下の足を引っ張る上司」を開催した。

第1部は、私がファシリテートし、「復元力が引き出せる人、引き出せない人の違い」をテーマにディスカッションやペアワークを通して「やる気」の源についてお考えいただいた。

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将来への不安、人間関係、社内政治、業績プレッシャー、夢を持てない、などの理由から、「やる気」を失ってしまう場合が誰にでもある。しかしそんな時、どうすれば自分自身を再度奮い立たせ、起き上がることが出来るのだろうか?

「やる気」を引き起こす重要な2つの要素として、私が提唱しているグローバル人材の5要素の中核に位置する「ビジョナリーシンキング」と「セルフエンパワーメント」がある。

ビジョナリーシンキングとは、発想力・ひらめきであり、その元になるものはパッションである。最近この言葉が死後になりつつあるが、パッションのある人はやりたいことがあるのだから生き生きとしている。ただ発想があってもどう実現するのかが湧いてこないと前に進まない。だから、そのパッションを実現するための構想力・思考力を併せ持つことで視界が開いてくる。やりたいこともその実現方法も見えてくればあとは実行あるのみだ。ただここでモジモジする人もいる。そのアイデアを実行しないのだ。
そんな時自分を後ろから押してくれるのがセルフエンパワーメントである。日々内省と自己強化に励み、自らをエンパワーしているからこそリスクがあっても自分の信念に従って前に進めるのである。

この2つの要素が核となり、自分の内側から「やる気」は生まれてくる。

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しかし、せっかく十分な「やる気」があったとしても、それを簡単に壊されてしまうケースが多い。現代の若者の離職率で一番多い原因が、メンタルヘルス面での問題である。その中でも特に「仕事への不満」、「人間関係の不満」が上位を占めている。この結果から上司、職場の関わり方が大きく部下の「やる気」に影響していることが分かる。

そんな自分自信ではコントロールが難しい外部要因に打ち勝つには、どうすればよいのか?
「やる気」の2つ目の要素「セルフエンパワーメント」における重要な役割を担う「レジリエンス」を鍛えることがカギとなる。レジリエンスとは、逆境から立ち直る力、精神的な回復力、心の復元力をいう。

レジリエンスには下記3つの種類がある。

1.知的なレジリエンス
・あらゆる手段を使って知識をえていく
・一つのことを今詰めて学ぶというよりは実践を通して、人との繋がりの中から学ぶ

2.感情的なレジリエンス
・感情的な強さを身につけようと努力している
・ストレスに耐えうる術を持っている
・フレキシブルな働き方をしている

3.社会的なレジリエンス
・多様な人々とのネットワークを作ることで、一つの人間関係が停滞しても、別の人間関係を通して、新たな活路を見出している

この3つを常に鍛え続けることで、心が折れず、しなやかで柔軟な精神力を作り、何度転んでも起き上がることのできる「復元力」を身につけることが出来るのである。

自分自身を「やる気」にさせるためには、ビジョンを持ち、それを実行するために何をすべきかを考え抜くことが大切だ。そして、日々内省と自己強化を繰り返し、レジリエンスを鍛えていくことで、どんな状況下でも柔軟に対応出来る「復元力がある人材」へと成長できるのである。

第2部では、「部下を伸ばす上司が実践している「違いを味方」につける考え方」と題し、脇田講師より、「認知」のアセスメントや数多くのグループワークを通して、自分自身そして相手を理解することの重要性を体験いただいた。

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「認知」とは、ある出来事に遭遇した際、それをどのように捉えるか、というモノの見方を指す。この「認知」は、感情や行動の基本となるため、自分自身の認知を知り、それをマネジメントすることで、より幅広い人材との関係構築が可能になる。

例えば、自分の価値を「他人の評価」、「仕事の業績」、「愛情依存度」などで測る傾向があるかなど、「自分と相手の認知は相手と異なる」ことを理解し、それを受け入れ、よりよいコミュニケーションのための対策を練ることが、部下を伸ばす上司には必要となる。

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自分と関係者の認知の傾向を理解し、その違いを優劣ではなく「違い」として認知することができる人の集まる組織に変えていく。これこそがダイバーシティマネジメントである。

久しぶりに脇田講師の研修を拝見したが、ちょっとした例の出し方やタイミングがやはり絶妙であった。研修の一部ではメンタルヘルスマネジメントやストレスコントロールなど、少し重めのトピックを取り上げているにも関わらず、良い意味でそんな雰囲気をあまり感じさせない、とても自然で参加者も時間を忘れてワークに没頭してしまう程、あっという間の3時間だった。

下記が当日参加された方からの感想の一部である。

・自分とは異なる他の「認知」を受け入れることの大切さと難しさを学び、リーダーとしての行動に変えて行く必要性を改めて感じた。
・自分の傾向を意識でき、また他の人の考え方を聞けたので視野が広がった。何でも当たり前だと思わずに掘り下げていくことが大切だと感じた。
・この研修はマネージャー向けだけではなく、チェンジマインドやチームビルディングにも有効なアプローチだと思った。

<研修終了後に脇田講師と>
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kazukon at 16:26

茹で上がってしまったら終わり

2015年07月19日
Meiji

先日明治大学アイセックの大学生と「グローバル人材の要素」について2時間ほどセッションを持った。企業の新入社員から役員とのセッションはかなりやっているが、学生とのセッションの機会は少ないので自分にとっても勉強である。

アイセックは国際交流団体なので、今回の参加者も全員海外でのインターン経験者、あるいはこれから経験する。そういう意味ではグローバリゼーションへの興味と意識は普通の学生よりは高いし、健全な危機感を持っている。これは以前セッションを持った早稲田大学アイセックも同じだった。バブル期の大学生と比べるのも極端すぎるが、傲慢さもお気楽さもなく現実を冷静に見ている。
その一方今を楽しんでいるだけで意識の低い学生も多いとも感じているようだ。

日本の若者に関して、私が気にしているのは米国に集まる多国籍の学生に比較するとおとなしく、明確なビジョンはあまり持たないし、価値観の幅があまり広くないことである。
仕事で米国の大学院生などと交流を持つことがあるが、米国人も米国人以外の学生もアイデンティティーを感じるタイプが多い。何か目指すものを持っている。ただ大企業に入りたいというのとは少し違う。

日本の大学生と米国や新興国の若者と大きく異なるのが「みんなと同じか少し上」を目指すマインドセットの多さである。突き抜けた上を目指さず「そこそこがいいという価値観」である。
この社会主義的価値観は中高年から若者まで浸透していて、財政赤字1,300兆円の国とは相性が良くないのではないかと常々感じる。

真面目さ、勤勉さ、協調性、礼儀正しさ、他者への気遣いなどは日本人は他国に引けを取らない強みである。
ただ若者はあまり欲がないし、現状にとりあえず満足なのは「茹でガエル」的である。

そして高度経済成長期に一生懸命働き現在の安定した基盤作りに大きく貢献した団塊の世代があと10年で75歳になり、国民の負担増は未知の領域に入る。今の大学生が30歳前後になると、消費税も10%以上になり、所得税と社会保障にも貢献する。ありがたいことだが負担が重過ぎて今よりさらに節約型になるのは間違いない。すなわちお金を使いたくない人が増え景気は悪くなりネガティブなスパイラルに入る。

だが人口を増やして景気を上向きにし、個別の負担を減らすために移民を増やすという選択は国民の理解が得られないだろう。
大手企業のワークショップで移民の是非を問うと、80%以上が反対である。しかし、膨れ上がる社会保障費を誰がどう負担するのか別に代替案があるわけではない。
本来であればこういうことを考えるのが政治家であるが、票が取れないテーマであるからいまだに優先順位は低い。

今回集まった参加者は、海外インターンで日本の素晴らしさもぬるま湯的社会の危なさも見えてくるだろう。もちろん真剣に取り組めば、の条件付きである。就職活動の一環としてという姿勢では何もつかめない。
世界のリアリティを感じて、居心地の良い場所から飛び出していかない友人にもその感覚を伝えてほしい。
「茹で上がってしまったら終わり」なのだ。
kazukon at 06:52

多国籍チームビルディングは、"たこ焼き"でうまくいく!

2015年07月01日
本日は、6月29日(月)に、弊社のエグゼクティブディレクターである福田聡子が
ある企業のチームビルディングセッションを担当する機会をいただいたので、
その様子をご報告したい。

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この企業では、日本国内・海外から選抜された14名の若手リーダー達が
約4カ月間で、リーダーシップの様々な要素を学ぶためのプログラムを実施されている。

プログラムは、全て英語で実施。
メンバーの出身国も日本・中国・タイ・メキシコと様々だ。

そして今回は、研修のキックオフとなる初日の午後に、
チームビルディングを目的としたCooking Sessionを実施した。

セッションでは、14名の参加者が4チームに分かれて90分間で3品の指定された料理をしながらチームに必要な要素を考えていく。

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セッションをサポートした弊社のアテンド者からの報告では、会場に入ってきた時には、
プログラム初日の午後ということもあり、参加者もかなり緊張している様子だったが、
セッションが始まると、「料理」という共通の話題ですぐに盛り上がったとのことだった。

例えば、調理開始前の15分間は、チームのミーティング時間だったが、
15分経つ前には、参加者自ら手を洗い始め、必要な食材を取りに走っていたそうで、
参加者の顔からは不安ではなく、ワクワクするような顔に変わっていたのが
近くにいてもはっきりと分かったそうだ。

また、今回の料理の1つでもある「たこ焼き」では、出来上がりのイメージや、たこ焼き器の使い方、味付けについてなど、英語でコミュニケーションをとるのに苦戦したようだが、外国籍の参加者がたこ焼きを上手にひっくり返した時には、他のチームからも歓声が上がったそうだ。

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料理は小学校の家庭科以来という人や、普段はキッチンに立つ事すらないという人も多くいたそうだが、料理の経験に関わらず、楽しめるのもこのセッションの醍醐味ではないだろうか。

研修最後は、料理に取り組んだ90分間の自分のチームについての振り返り

上手くいった点、改善すべき点は何か、今後チームとして具体的に必要な行動とは?
について以下のような色々な意見が出たようなので、いくつか紹介したい。

1) 料理別に作業を分けたのは良かったが、自分の作業に没頭するあまり、
進捗確認をしなかった。

2) 作ったシロップを、水と勘違いされて捨てられた。コミュニケーション不足
作業は2倍になった。

3) 英語力不足を痛感。明確に理解し合うためには、語彙力も表現力も
より高める必要がある。


この研修には、英語力が一定以上ある参加者が参加しているとのことだったので、
3)には少し驚いたが、講師側からあえて必要以上に細かな指示はしないことで
このようなコメントが参加者自身の言葉で出てきたのではないかと思う。

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帰りは、全員で片づけをして会場を後にしたそうだが、皆さんほんの数時間の料理でグッと距離が近くなったようで、姿が見えなくなるまで笑い声が聞こえていたそうだ。

プログラムはまだ始まったばかりだが、
今から4カ月後の成長した姿を聞くのが楽しみである。

長期に渡る研修のキックオフでは、運営側が懇親会を実施することが多いが、
特に今回のような多国籍の社員が多いセッションなどでは、「料理」という
共通の話題でチームビルディングを実施してみることもお勧めしたい。
kazukon at 15:51
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