布留川 勝の「人材育成の現場!」日記
企業・団体の「グローバル&自立型人材」育成に携わるグローバル・エデュケーションの代表、布留川が人材育成の現場で日々感じたことなどをまとめます。 BLOG内検索
GlobalEducationandTrainingConsultants代表取締役布留川 勝カーネギーメロン大学 Institute for Software Research International Program Director

2016年09月

G研報告:第134回「機能するダイバーシティ」を実現するために知っておきたいポイント

2016年09月29日
先日、8月23日(火)に第134回「仕事を抱え込むプレーイングマネージャー、話を聞かないマネージャーを超える!答えのない時代における「任せる、引き出す、共に創る」を可能にする共創型リーダーシップとは?」を開催した。

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第1部の私のパートでは、「機能するダイバーシティ」を実現するために知っておきたい4つのポイントについて解説した。

1.なぜ、ダイバーシティが必要か?
2.外国人社員の採用と定着の課題
3.ダイバーシティとイノベーションの関係性
4.世代間ギャップ


「2.外国人社員の採用と定着の課題」では、参加者の方々に現在の外国人社員の定着率についてディスカッションいただいた。下記が出ていた意見である。

・「ここ数年で一気に外国人社員の数が増え、サポート体制は正直回っていない。今までは日本の大学を卒業した日本語が流暢な外国人社員を雇っていたので、そこまで言語の問題はなかったが、最近では英語しか話せない社員も増えてきた。日本語があまり話せないため、非常に優秀ではあるが、同僚や上司とのコミュニケーションが上手くいっておらず、データをまとめる、文献を読んでおくなど、簡単な仕事しか渡せていないことが多い。先日、マレーシア人の社員が食堂で一人で座ってご飯を食べているところを見た時、胸が痛んだ。速く手を打たなければまた数名辞めてしまうだろう」

・「私は中国出身だが、そもそもなぜ定着しなければいけないのか?と、実はいつも考えてしまう。日本は未だに終身雇用の考え方が根付いているが、私の国では、良い会社があればすぐに辞める、長くて3年ほど働くというのが一般的である。多くの若者は、自分の能力をどのように活かし、キャリアに繋げていくか、ということばかり考えている。その観点で、会社も良い人材を確保し、キープするためには、その人にあった職務や能力に合わせての昇給、昇格が必要になる。」

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なぜ、外国人社員は定着しにくいのか?

下記3つの問題があると考える。

原因1:コミュニケーションの問題
原因2:日本特有の「あいまい型」マネジメントの弊害
原因3:年功序列や終身雇用などの雇用体系の問題


特に原因1:コミュニケーションの問題
についてだが、外国人社員が必ず日本語を話さなければいけない理由はない。日本人社員も英語を話し、互いに歩み寄り理解し合うことが重要。そのため社内英語公用語化の促進も視野に入れている企業が年々増えている。最近、社内英語公用語化へのロードマップを描くというお手伝いが多くなってきている。

グローバルビジネスの公用語は英語で、必然的に日本以外のグローバル企業でホワイトカラーで英語ができない人はほぼいない、という事実がかなり知られるものとなってきた。
海外へ活路を見出すためには、英語社内公用語化は避けられない流れになってきている。ただ、そうは言っても各種の障害や抵抗があるのが社内英語公用語化。

以下のような意見にどんな話をすればよいか。。。

・英語を使わない部署だから。
・日本人しかいないから。
・若い人がやればいいから。


しかしそのポイントの盲点は、2年先、5年先、10年先もそうであるとは限らない。プラス、そういう意見を持っている方のほとんどの場合は、ご自身が英語ができないまたはやりたくないという隠れた理由がある。さて、そういう人たちをどうしたらよいか、という相談が急増している。

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ここを破っていくには、会社の産業や、トップの方のモノの味方によって大きく変わってくるが、社内英語公用語化に踏み切る企業は、日本市場だけではなく、グローバル市場で勝負する決心がついている会社が多く、そのような企業にとっては、公用語化は不可避の流れで、しないと考える方が不自然である。

公用語化が何のためなのかを本質的に理解、整理し、ロジックを整理するためにも、そして、「グローバルの視座」の持ち方が分からない方のためにもよくご利用いただいているのが「パーソナル・グローバリゼーション」。このセミナーでは、この「グローバルの視座」を身に付ける方法を取り上げている。この内容での今年の公開セミナーは既に先日終わってしまったが、また来年年明けに実施する予定なので、是非、組織全体をグローバル化する第一歩として是非、この機会にご活用いただきたい。

次回のブログでは、第2部に登壇いただいた中土井講師の内容についてご報告したい。

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IMD流のグローバルリーダー教育とは? 第133回G研報告

2016年09月25日
幹部層のグローバルリーダー化として有効な手段として近年日本企業においてもこれまで以上に幅広い業界から注目を浴びているのがビジネススクールの「エグゼクティブエデュケーション」(短期幹部教育プログラム)だ。

グローバル人材育成研究会(G研)においても、この数か月、名門ビジネススクールのディレクター陣の来日が続いている。

6月: ロンドンビジネススクール
7月: ハーバードビジネススクール


そして、8月4日(木)のG研では、フィナンシャル・タイムズのエグゼクティブエデュケーションランキングにおいて5年連続世界1位を取り続けている、IMDからSalvatore Cantale教授をお招きした。

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しかし、なぜ今、エグゼクティブエデュケーションなのか?

敢えて一言で言い切るのであれば、「VUCAワールドにおけるリーダーシップの発揮」である。

変化が激しく(Volatility)、不確実性が高く先行きが見えず(Uncertainty)、様々な要素が複雑に絡み合っており(Complexity)、加えて、ものごとの因果関係が不明瞭で、かつ前例もない(Ambiguity)のがVUCAワールドだ。

VUCAの要素が深まるほど、進むべき方向を見出すためのリーダーシップが求められる

自動車業界を例に取ると、これまでの自動車会社にとっての競合他社は他の自動車会社だったが、これからはまったく違った業界から思わぬ競合が出てきて、業界のゲームがガラリと変わる可能性が高い

例えば、自動運転技術の研究開発に大きな投資をしたり、トヨタと提携するなど話題になっている、Uberの創業者のトラビス・カラニック。彼は、究極的には自動車の数を減らしグリーンな世界を目指しており、従来の自動車会社とはまったく違う位置づけから自動車業界に参入している。

また、今までの電気自動車の概念を覆す性能やスタイルを持った電気自動車を生み出したり、垂直着陸が可能な画期的なロケットを開発しているイーロン・マスクのような経営者も参入してきている。

まさにVUCAワールド真っ只中である。

ビジネススクールの「エグゼクティブエデュケーション」では、様々な経歴を持った、多種多様な業界のリーダー人材と共に、大局的かつ異なる観点からビジネスを考えられる
だからこそVUCAワールドにおいて先へと進み、結果を出すリーダーシップを磨くことができるのだ。

そのようなリーダーシップを磨く場に出て、十分な費用対投資効果を得るには、人選と事前準備が成功のカギとなる。
特に日本企業からの参加においては、高い英語力はもちろんのこと、コミュニケーションスキルや、MBAフレームワークも欠かせない。
そして、そもそも「授業を受ける」という受け身の姿勢から「貢献する」という積極的な姿勢へとマインドの切り替えが必要となる。
適切なアセスメントをかけ人選し、また対象者となる方からヒアリングをしながら数多くあるプログラムから最も適切なものを選択し、そしてプログラムのメリットを享受できるように、事前研修を組むべきだ。

G研では、第一部において、私からこれらエグゼクティブエデュケーション参加のメリットと成功させるための準備の考え方を紹介した。

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そして第二部では、IMDのSalvatore Cantale教授にご登壇頂いた
彼はイタリア人で、ロンドンで大手投資銀行でアナリストとして働き、その後イタリア、ニューヨークの大学で教鞭を取り、IMDでファイナンスや次世代リーダー向けプログラムの人気教授である。
イタリア人らしい陽気でチャーミングなファシリテーションで、開始早々に参加者から自然に笑みがこぼれた。

そんな、教授にお話し頂いたのは、「IMD流のグローバルリーダー教育」
今、リーダーが舵取りしなければならないのはVUCAワールドと呼ばれる、先が見えない複雑・曖昧で変化が激しい世界。
その世界においてリーダーとしては、どのように問題解決に取り組むべきか?

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そこで教授は、普段の授業さながらにBMWやシンガポール航空のケースを用いてのファシリテーション。
ビジネススクールで鍛えられる「思考法」の一部をご紹介いただいた。

シンガポール航空は、航空会社としての格付けが最高ランクの5つ星を獲得した1社だ。
新機材の導入に積極的であり、機内サービスの質の高さ、顧客満足度の高さで評価されている。
そうなると、さぞコストも掛かっていることだろう、と考えがちがだが、実は2001-2009年の記録では1席あたり1km動かすコスト、という指標で見ると、LCCを含む他の航空会社と比較しても格段に低く、最もコスト効率の高い会社ということが明かされる。
シンガポール航空は、様々なイノベーションを起こし続けている企業だが、あらゆるレベルで対立する2つの要素の両立を実現している。

例えば、
・トップダウンでの中央集権的なイノベーションと、現場からのボトムアップでのイノベーション
・他社に先駆け最新機材を導入するテクノロジーリーダーでありながら、バックオフィスでは実証済みの技術を使いコスト効率を高める

どのように相反する要素を両立させながら問題解決するのか?

教授が紹介したのは得たい成果に応じて4つのレベルの思考を柔軟にシフトさせながら意思決定をする考え方だ。

Level 1: 問題型思考
白か黒かはっきりさせる思考法。

Level 2: パズル型思考
問題は白か黒かではなく、「程度」問題という思考法。

Level 3: ポラリティー(極性)型思考
両極端の状況を併存させる思考法。

Level 4: パラドックス(逆説)型思考
白も黒も併せ飲み、新たな方向性を見出す思考法。

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例えば、シンガポール航空の例であれば、リーダーの目指すべき方向が、
「顧客サービスとコスト低減、という一見相反する目的を達成しながら結果を出していく」ことであれば、

Level 1: 
高いサービスを提供するオペレーションから、ローコストオペレーションのどちらか。

Level 2:
受け入られるレベルでの顧客満足と最低限必要なコストとの妥協点を見出す。

Level 3:
顧客サービスのある要素においては集中して、別の要素においてコスト削減する。

Level 4:
もし一番初めに最適なサービスを提供できれば、無駄な活動を削減でき、その分のコストを取り除ける。そしてその分を顧客サービスに再投資できる。

常にLevel 4の考え方でいる、ということではなく、出すべき答えに応じて思考のレベルを変化できることが重要で、こうしたことを学べるのが、まさにエグゼクティブエデュケーションの学びの本質であり、IMD流グローバルリーダー育成とのことだ。


まさにエグゼクティブエデュケーションの一端に触れらた時間となり、予定の2時間もあっという間に過ぎた大変密度の濃い時間だった。

<終了後にSalvatore Cantale教授、専務取締役の福田と>
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第132回G研報告『ハーバードビジネススクールは何故トップを走り続けられるのか?』

2016年09月07日
7月21日、第132回G研 『ハーバード ビジネススクールは何故トップを走り続けられるのか?』
を開催した。

今回はハーバードビジネススクール(HBS)から
エグゼクティブ・エデュケーション ディレクターのPhilippe Labrousse氏、
日本リサーチ・センター長の佐藤信雄氏、
そして導入事例として日本を代表する飲料水メーカーの研修ご担当者様に登壇いただいた。

冒頭、私から「エグゼクティブ・エデュケーション」が何故今注目されているのか、
またその効果的な活用方法について主に以下4点をご紹介した。
エグゼクティブ・マネージャー育成の種類
人選と人材プール
人選後の準備
エグゼクティブ・エデュケーション参加に必要な事前研修

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私自身、ボストン本校での3日間の人事向けのコースを受講した経験がある。たった3日間であっても多国籍異業種のエグゼクティブとのケースメソッドの体験を通して、なぜ日本企業から派遣されるエグゼクティブがコースに積極的に参加できないのかがよく理解できた。
まとめると以下の3点が挙げられる。

1 英語力が不十分だとケースの予習が十分にできない。1日3ケースでありそれ以外に参考図書まで読むというのもある。ネイティブでも厳しい量である。1日3ケースをストレスなく読むのに十分な英語力はどれくらいかというとTOEICでは最低900というところだろう。

2 多国籍英語が飛び交い普段から慣れていない日本人には、瞬間的にアメリカ・インド・中国・ヨーロッパ・中東英語などの聞き取りにくい英語にスイッチ切り替えができない。

3 何か発言するとすぐに反論や意見が浴びせかけられる。これは日本人的「空気を読みながら意見を言う」 という文化に浸ってきた我々には慣れるまで時間がかかる。
ディベートを小学校から学んでたり、意見を言わない人は能力がないという教育をされている人たちのマインドセットとスキルははケースメソッドと相性がいいが、日本人はほぼ真逆である。

ということで参加してからの課題はあるのだが、国内で活躍し魅力的な幹部をこのプログラムに送り込むことは「良い投資なのであろうか?」という疑問が日本企業の中にある。

できれば上記3点の課題をなくしてからの参加に越したことはないが、そんなことを言っていると大手企業でも10人派遣したらもう候補者がいないということになるのが悩ましいところである(もちろん事前対策コースはある)。

私はエグゼクティブプログラム経験者数十名に帰国後インタビューしてきているが、その感触は投資としては成功していると考えている。なぜなら、プログラムを通して、いくら本を読んでもわからなかった「リーダーの本質」「自分は何者なのか」「ダイバーシティとイノベーションの重要さ」など経営者やマネージャーとしての基本がアップデートされ腹落ちする経験をしてきたと語る人がほとんどだからである。

エグゼクティブプログラムに派遣することは目的ではなく、グローバルリーダー育成の手段の一つでしかないのであるが、もし皆さんの会社に派遣準備ができている人材が枯渇しているとしたら、すなわちグローバルビジネス成功への黄信号がというサインかもしれない。

某メーカ―の事業部長曰く
「選抜されたときは気が遠くなるほどいやだったが、結果として人生で最高の経験だった!もしこの経験なしで現法社長をやっていたらとんでもなく部下に迷惑をかけ自分もつぶれていたかもしれない。。」


続いて佐藤氏とPhilippe から、「HBSが重視していること」
「エグゼクティブ・エデュケーションに次世代リーダーを派遣する価値」
についてお話いただいた。
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ビジネスにおいて、「確実」ということはありえないし、決まった正解もないことが大半である。
リーダーはVUCAワールド(Volatility,Uncertainty,Complexity,Ambiguityの略:ビジネスの世界では、企業を取り巻く市場環境が不安定で不確実、かつ複雑で曖昧模糊な混沌とした状況) の中で物事を常に判断し、決断しなければならない。

HBSのエグゼクティブ・エデュケーションでは、そう言った状況の中でリーダーがどのようにストラテジーを実行するのか?最新のケースにふんだんに触れ、各国の参加者とのディスカッションを通じて学び合い、臨機応変な人材を育成することを重視している

また、佐藤氏によると日本人が抱える課題の傾向としては大きく2点あるという。
一つは、最初に自分が発言した意見を変えることに抵抗があることだ。自分の信用を懸念し、本当は意見を変える必要がある局面で撤回ができない傾向がある。

もう一つは、経営者が陥りがちな一つのある分野には精通しているが、他の分野に関する知見が足らず、分野ごとの関わりを統合できないことである。
当然、経営者であればたとえ浅くとも全ての分野で議論を交わせる能力が求められてくる。

尚、カスタマイズプログラムでは、これらの課題に対して深くアプローチすることができ、自分の意見を自信を持って撤回し、各分野の関連性を把握、統合し自己の中に判断基準を作ることが可能になる。ここ数年日本企業からの参加も増加傾向にある。


そして今回は、実際にHBSのAMPプログラムに自社のリーダーを派遣されたA社のご担当者様にもご登壇いただいた。
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AMPへの参加を通じ、
1) Cooperate-協力
2) Society-社会にいかに貢献するか
3) Family-仕事と自分個人の生活をどう調和させるか
が最も伝えたかったことではないだろうかとのことだ。

日本人は1)のCooperateに偏りがちであることに気づかれたと同時に、
「英語とファイナンスはグローバル市場で活躍する上での入場券である」 とおっしゃっていた点が印象的である。
また、派遣にあたって社内でも大きな変化があったようだ。
10名の社員を選び、前年のHBSのケースを取り寄せ、約40のケースサマリーを作成、ブリーフィングを行ったというから驚きだ。
自社のリーダーが社員を巻き込んでこのプロジェクトに臨んだことで明らかに組織に大きなインパクトを与え、自社も世界で戦っていけると再認識されていた。

ダイバーシティの中で各国の価値観や個人の主張から新たな知を得て、自社のストラテジーに活かす思考パターンを身につけられる最高の教育がHBSにはあるということに、改めて多くの日本企業の次世代リーダーにご経験いただきたいと感じる。
同時に、何度聞いても大きな学びがあるのが、さすが世界の最先端を行くHBSの魅力である。
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