布留川 勝の「人材育成の現場!」日記
企業・団体の「グローバル&自立型人材」育成に携わるグローバル・エデュケーションの代表、布留川が人材育成の現場で日々感じたことなどをまとめます。 BLOG内検索
GlobalEducationandTrainingConsultants代表取締役布留川 勝カーネギーメロン大学 Institute for Software Research International Program Director

2016年12月17日

「グローバル人材育成はなぜ英語研修化し、失敗するのか?」

2016年12月17日
多くの日本企業でグローバル人材育成を検討するものの、最終的には、日本語のグローバルリーダー育成コース+英語研修、または加えても異文化コミュニケーションスキル、という形で落ち着き、結果、「知識はある」が「英語では発揮できない」になることが多い。

そこで、11月25日(金)に第139回グローバル人材育成研究会「グローバル人材育成はなぜ英語研修化し、失敗するのか?〜成功事例から考察する抑えるべきポイント〜」を開催した。

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グローバル人材育成の投資効果が出せず、苦労している場合、主に以下の3つの失敗に陥っていないだろうか?

1. 「要は英語でしょ?」から始まる失敗
英語力があればなんとかなる。
ただ、あまりにハードルが高いと誰もクリアできないので、最低でもTOEICで600にする。
それがいつの間にか、グローバル人材の要件とすり替わる。
そして多くの社員はTOEIC600点を超えた時点で「やっと自由になれる」、となりその後の学習はしなくなる、という本末転倒な事態が発生。

2. グローバル人材の定義が曖昧
グローバル人材の定義に関して、社内コンセンサスがとれない状態が続き放置。
しかし、何もしない訳にはいかず、英語学習に関しては誰も異論を唱えず、結局、英語研修だけ実施することになる。

3. 知識インプット重視
冒頭の日本語での経営塾では、まずは知識、という形になることが多く、英語で実際にタフな交渉やマネジメントができるかは不問とされる。
結果、知識は持っているが、英語で発揮できないケースが多い。
また、何よりも知識重視になっており、自分自身をグローバル化する、またはグローバルビジネスを自分たちが牽引する、というマインドセットが出来ていないことが大きな障害になっている。

最近、ご相談の多い、以下の課題において共通することである。

・管理職クラスのグローバル人材化(プールの強化)
・PMI対応の人材育成(即戦力としてのグローバル人材)
・海外エグゼクティブプログラムの活動
・英語公用語化に向けた動き



今回のG研の第一部では、特別ゲストとして、第一生命保険株式会社 グループ経営本部 兼 人事部 部長 人財開発室 室長 原 由也 様をお招きしての対談を行った。

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第一生命保険株式会社は、114年の歴史を持つが、本格的なグローバル展開は2006年から始まったばかりで、現在の中期経営計画では、利益の30%を海外から、を目標として掲げており、社員のグローバル化も大きな課題となっているとのことだ。

原様は、キャノン株式会社において人事部門で18年間勤め、またそのうち11年間、イギリス、オランダ、ベトナムでの海外赴任もされている。
その原様が考えるグローバル化、グローバル人材育成の在り方について伺った。
ここではそのいくつかを挙げたい。

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Q1.原様にとってのグローバル人材の定義とは?

グローバル人材=ダイバーシティマネジメントに長けた人材と考えている。
そして、結果としてグローバルベースで組織に成果をもたらすことが出来る人がグローバル人材と考えている。

Q2.メーカーと金融業界でグローバル化にどのような違いがあるか?

メーカー:
海外拠点作りにあたって日本本社のコピー。ロールアウトが軸。

金融:
M&Aなどインオーガニック戦略が軸となるため、買収先のそれぞれの会社の価値観、方針を尊重しながら成長することが必要。

全く違うものをリスペクトしながらの成長のやり方はそこに難しさがある
自分たちが技術的にもサービス的にも優れており、それを海外に浸透させる、ではなく、自分たちのほうが優れている、独立性を主張してくる相手のマネジメントが必要

そういった意味で、日本からの赴任者は、黒子であり、リエゾン的な役割が出来ないといけない。
そして、リエゾン的な役割は、マネジメントが出来ない人には出来ない

Q3. そうしたグローバル人材は育成出来るのか?

グローバル人材の必要な要素を考えたときに、「語学力」という観点では一定レベルでは可能。
英語以外の要素としては、アサーティブネス、クリエイティビティなどが必要。
例えば、ベトナムオフィスでは、大卒、高卒、中卒、小卒のメンバーがいる。彼らにどう認めてもらうか?
Integrity(誠実さ)、立ち振る舞い、非言語的など、人間性も非常に重要と感じている。専門性と同じで、一方的に話す人は尊敬されない。

Q4.グローバル人材育成にあたり、どのような取り組みをされているのか?

海外拠点の交代要員(現在赴任している優秀な人材の後任)育成では、貴社でお世話になっている1泊2日×4回のセッションに事前・事後のアセスメント、そしてフォローアップセッションなど若手を中心に体系立ててやってきており、のべ86名を輩出するという成果が出ている。

しかし、海外にポストが豊富にある訳ではないので、すぐに海外赴任ともいかない。
そこで、本社自体のグローバル化も必要であり、人事部としては、日本語が出来る外国人社員に続き、日本語がしゃべれないオーストラリア人を部員に迎えるなどして雰囲気を変えてきた。

また、御社での異業種交流のグローバル版にも参加し、イノベーションのトレンドについて異業種で英語でディスカッションしながら視野を広げることをしている。

Q5. グローバル人材育成にあたりどのような課題があると感じていますか?

若手社員のプーリングはやりやすく、成果が出てきていると感じている。
しかし、メーカーほど海外拠点でのポストがある訳ではないので、本社のグローバル化も必要
そこで先に挙げた、人事部に外国人社員を配置するなどしているが、組織文化の醸成は難しい
これから金融業界は買収・合併、Fintechなどの変化が大きく、ここ2年半で一気に加速している。
その変化対応に向けた人材育成をしていかなければいけない。

原様との対談は非常に示唆に富むものであり、その後参加者からの質問も相次いだ。

私自身、250社以上のグローバル人材、自立型人材育成コンサルティングに携わる中感じるのは、グローバル人材育成のフェーズがまた一つ大きな転換点を迎えているのではないか、ということだ。
これまで若手・中堅を中心にグローバル人材育成の投資がされる傾向にあったが、マネジメント層への投資に関してのご相談がかなり増えてきている。
その背景の一つには、ここ数年、日本企業による海外企業の大型M&Aが相次ぎ、そこから2〜3年経過し、いわゆる「ハネムーン時期」が過ぎ、双方が乗り越えるべき壁としてマネージャー層のグローバル化なしにはどうにも回らなくなってきているのではないかと考えている。

このテーマについては2017年のG研においても事例発表出来るのではないかと思う。

第2部の河原崎圭市講師による「なぜ、あの人は英語が上手くなくても魅力的な話が出来るのか?
〜TEDトークのエッセンスから学ぶ相手に印象を残す3つの法則〜」
については後日掲載させていただく。

kazukon at 16:28

「日本語経営塾は投資が回収できない理由」大阪G研報告第138回

先日、11月1日に第138回大阪G研「グローバル研修を日本語でやってはいけない理由&危機管理の視点から考える!幹部層に求められる英語での「瞬発力」と「決断力」」を開催した。

大阪支店開設後、5度目の開催を迎えた大阪G研は今回もオープニング前から即席の名刺交換会があったり、セッション中の参加者間の議論が白熱し、時間制限を越えてもしばしば意見交換が続けられるなど、非常に大きな盛り上がりを見せた。

さて、第1部の私のパートでは、「グローバル人材育成の動向とグローバル人材が育たない理由」、そして解決に向けての提言をさせていただいた。

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日頃より申し上げているが、グローバルで活躍していく次世代リーダーに対する教育は
日本語で知識を教えるだけでは不十分であり、少なくとも実践的、かつワークショップそのものを英語で行っていくことが必須条件である。

また、プログラム設計段階で目的が不明確、グローバル人材の定義も曖昧であれば、その研修が成功する確率は低くなる。
残念ながら「日本語で知識のインプット+英会話レッスン」をグローバルリーダー育成の研修メニューとして位置づけている企業は思いのほか多い。
そして、結果としてグローバルリーダーの育成が思うように進んでいないということが起きているのである。

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1. 経営塾は英語で行わないと投資が回収できない
TOEIC500点の参加者がいるのに、経営塾を英語で行うのは無理である、という考え方がある。その結果経営塾は日本語で行い、英語力をカバーするために英会話レッスンを別立てでつけるという方法が一般的である。もし経営者候補をグローバルマインドとスキルを持ったリーダーとして育成するのであればこの方法は残念ながら失敗している。
リーダーシップや戦略、ダイバーシティーとイノベーションなど難易度の高い内容に関し、英語でディスカッションするから身に付くのであって、英会話レッスンで身に付くものではないのである。
逆に1年間の経営塾の80パーセントを英語で行い、役員への最終発表会を英語で堂々と行うことができるのが弊社の「グローバルリーダー育成コース」である。月に1回1泊2日のコースを11回行うのが標準であるが、受講者は1年間毎日英語の自己学習が課せられている。
毎日英語の自己学習を行っているという事は、なぜそれを行うのかを納得しているからである。英語は「やらされ感」を持っている限りものにすることできない。
選抜人材でも日々の激務の中でじっくりとなぜ自分がグローバル人材になるべきか、あるいはならなければならないのかを考える余裕はないのが現状である。しかし、大手企業の幹部が日本的な発想しかできず、日本社会で日本語でしか仕事ができないのであればグローバル市場を制することはありえない。
このコースにおいては私や 今回登壇のDavid Wagner講師を含む7ー8名の講師陣があらゆる角度から受講生を鼓舞し、視座を高くし、戦略的にものを考え、英語はすきま時間で自己学習するのが当然という人材に変容していくのである。

2. M&A後のリーダー育成
M&A後のリーダー育成を視野に日本人、外国人社員の次世代リーダーを対象としたプログラムが続々スタートしている。ビジネススクールによるカスタムプログラム、複数のビジネススクール教授人とのコラボレーションコース、国内のグローバル系ファシリテーターによるセッションなど、手法は様々ある。


3. 2017年は英語公用語化企業が続出の気配
英語公用語化に関しては、2017年に大きな動きが出てくる気配がある。もう特定の企業のものだけではなくなってきている。弊社はある大手製造業は英語公用語化に大きく踏み出すコンサルティングを行っている。実は1番の英語公用語化に踏み切る理由は中国である。日本語のできる中国人と英語のできる中国人両方を採用し戦力化することが、今後の中国マーケットで前進する大きな要素であるが、ほとんどの日本企業は、日本人社員が英語ができないため日本語のできる中国人のみを採用する。しかし、英語のできる中国人の方が優秀層が多くかつボリュームが大きい。その結果他国の競合企業との間に人材の質と量において差をつけられてしまうのである。
だから英語公用語化なのだ。


参加されたご担当者からは、グローバル人材育成の選抜研修を毎年行っているものの、なかなか育っていない理由に思い当たる節が多々あり、大変参考になった等のアンケート結果をいただいた。

第2部では、元NHKのテレビ講座の制作・司会者としても有名なDavid Wagner講師が登壇した。
彼との付き合いは、当社を設立した当時からであるため、かれこれ16年となる。


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David講師のパートでは、「危機管理対応力」をテーマにご参加いただいた人事の方々に実施の研修で行うミニケースを体験いただいた。

訴訟、品質問題、SNSでの会社の悪い噂が流れるなど、変化する状況の中で、どのように対応するか、そして、その言動一つで、会社の存続の危機にすら成り得る状況をどのようにコントロールするかは、グローバル企業の幹部、マネージャーとして必須のスキルである。

今回は、セクハラをテーマに元従業員が訴えてきた場合、どのように危機を回避し、素早く決断を下し、解決策を導き出すことができるかを体験いただいた。

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この日、セッション中にDavid講師が何度も言っていた言葉が印象的であった。
それは、"Key Questions need to to be asked in order to get right answer." である。

会社の存続をも揺らがすような大きな問題が起きた時、幹部層に必要となるスキルは何か?

それは、まずは状況を整理し、正確な情報を掴んだ上で、問題解決の手助けとなる「戦略的な質問」をすることである。

日本人は質問することが苦手とよく言われているが、この状況を打破するためには、「戦略的な質問スキル」が大きなカギとなる。

では、どのような質問スキルが求められるのか?

Davidは、5W's+2H's(Who, What, Where, When, Why, How?,How much/many?)の中に、その答えはある。

以下例えば:

What do you know? 自分はどのくらいのこの危機に関する情報を知っているか?
What are the issues? 何が問題であるか?
Who is affected? 誰が被害を受けているのか?
Which facilities are involved? 誰がこの件に関わっているのか?
Who/What is causing this? 誰/何がこの問題を引き起こしているのか?
What remains unclear? どの情報がまだはっきりしていないか?
What are our priorities? 優先順位は何か?
What needs immediate attention? 今すぐに実行しなければいけないアクションは何か?
What can we wait? まだ現時点では実行すべきではない行動はあるか?様子を伺う必要のある項目/状況は何か?

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これらの質問スキルを上手く使いこなすことで危機を最小限に回避することは可能である。また、これらの質問スキルは危機管理対応力のみならず、様々なグローバル環境下でも応用が出来る。積極的に質問をするということは、思考力を強化し、視座を上げることにも繋がるだろう。

どの企業も危機的状況に陥ってから対応するのでは遅い。危機が起きる前から、考えられる状況を想定した上で幹部やマネージャー層の英語での「危機管理対応力」を鍛えるニーズは今後、益々増えるだろう。

<最後にDavidと質疑応答の様子>
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kazukon at 08:06
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