布留川 勝の「人材育成の現場!」日記
企業・団体の「グローバル&自立型人材」育成に携わるグローバル・エデュケーションの代表、布留川が人材育成の現場で日々感じたことなどをまとめます。
GlobalEducationandTrainingConsultants代表取締役布留川 勝カーネギーメロン大学 Institute for Software Research International Program Director

G研報告:非グローバルなリーダー人材をグローバル化すれば組織は激変する

2014年09月29日
先週、第104回グローバル人材育成研究会「900人のグローバル人材を輩出してきた選抜プログラムとは?」を開催した。

■第一部■
私から、グローバル人材育成で成功&失敗する企業の特徴、人選について、そして「選抜グローバル人材育成プログラム」についてお話しした。

まず始めに「グローバル人材育成に失敗する企業の特徴」として下記5つをお伝えした。

1. グローバル人材の定義が曖昧なため、『グローバル人材=英語のできる人』という傾向が未だ強い。
2. 本来グローバル化すべきリーダー人材ではなく若手だけにグローバル研修を行っている。
3. 本質ではなく、他社事例などの影響を過度に受けやすい。
4. 育成プログラムが場当たり的で継続しない

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例えば、
1. 「グローバル人材の定義が曖昧なため、『グローバル人材=英語のできる人』」という傾向が未だ強いのは残念である。もちろん英語力は必須であるが、グローバル人材育成が即そのまま英語研修やTOEIC対策になってしまうのは時代錯誤も甚だしい。
また、経営塾が、『リーダーシップコース(日本語)+英会話コース』という組み合わせになり、コース修了者が外国人幹部との会議で一言も言葉を発しないという笑えない事態が後を絶たない。
生活で英語を使わず仕事でも使ってこなかった人日本語でリーダーシップを教え、ディスカッションし、英語も必要だからという発想で英語レッスンを加えるという発想はユニークだが結果はわかっている。なぜこのような非論理的で結果の見えているやり方が社内でまかり通るのだろうか?

2. 「本来グローバル化すべきリーダー人材ではなく若手だけにグローバル研修を行う」という特徴だが、リーダー人材、特に非グローバルのリーダー人材をグローバルに変えることがレバレッジポイントであるのだが、そこの重要さに気づいていない企業が多い。若手をどれだけグローバル化しても、結局上の層が変わらなければ、組織はグローバル化されないだろう。上から変えていくこと、それが組織開発にも繋がるのである。

当日は、ご参加いただいた皆様で「グローバル人材育成の課題」についてディスカッションいただいた。

・管理職やマネージャー層をどう変えていくかが課題。若い世代は海外にも興味があり英語はある程度話せるが、ビジネススキルがまだ十分ではない。上の層は、英語に対して苦手意識を持っている人が多く、話せる人にばかり仕事が偏ってしまっている。

・来年で社員の3人に1人が55歳になる予定で、上の層はグローバル化する気がない。グローバルは若手に押しつけている傾向がある。定年退職の時期が延びると逆ピラミッドとなってしまい、活躍してほしい新人・若手が雇えなくなるのが課題。

・30年後もこのままで大丈夫だろうと思っている人が多い。そのマインドをどう変えて行くか、グローバルはそこまで来ているということを示さなければいけない。

・TOEIC800点でも海外の人に仕事を教えられない社員も多い。むしろ600点の社員の方が以外と英語で教えるのが上手い場合もある。グローバルでは、人間性やコミュニケーションスキルが大切である。英語が出来るから仕事が出来るわけではない、しかし英語が出来ないと仕事はできないのでここが難しいところでもある

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最後に、グローバル人材を育成するための月1回、1泊2日や2泊3日の研修を6回〜11回行う「選抜グローバル人材育成プログラム」をご紹介した。

参加者の英語力はバラバラであり(TOEIC400点台〜990点までということもある)、
グローバルマインド、コミュニケーションスキル、リーダーシップ、経営フレームワークなど8割方英語で学ぶ内容で、導入企業から高い評価を頂いている。
この研修の導入に反対する人の発想はいつも同じである。「TOEIC400−500の人に英語によるワークショップは無意味だ。理解出来っこない。」だから内容は日本語でやり、英会話レッスンを付けるというのだ。
もちろんそこには一理ある。ただ、投資効果を考えると、1年後に、英語での会議や交渉や評価面談をこなせているかどうかだ。日本語のコースで内容を理解した人で英会話レッスンで得た英語力を駆使し、ネイティブや準ネイティブとの英語での格闘技に挑める人はごく稀である。逆にTOEIC400−500で1年間英語でのワークショップをこなしながら、日々自己学習で英語も身につける人は、地獄の1年ではあるが実のある結果を得る。この研修では、毎日の自己研鑚が求められる仕組みがある。月に1回の研修に出席すればいいというものではない。
選抜されるような人材にはこれくらい厳しい1年がちょうどいいと考えている。最終日の経営層へのプレゼンの後の表情は皆達成感ですがすがしい。

この選抜研修は、「人材開発 X 組織開発」を狙っている、リーダー人材、特に非グローバルのリーダー人材がグローバルに変わると組織は激変する。逃げ場がなくなるからだ。自分の上のリーダー層がグローバル人材化すれば、次世代もグローバル人材化せざるを得ない。この連鎖が組織をグローバル化させ高利益率のグローバル企業を作るのだ。

インパクトのある講師陣 × プライドのある幹部クラスの受講生」の本物同士がぶつかり合う研修には化学反応が生まれる。これはどの企業にも差異はない。

■第二部■
世界72各国、3200名以上のグローバル人材を育成してきたジェームス・ドハティ講師より、日本人のマインドセットをよりグローバルに変えるにはどうすればよいのかお話しした。

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彼は、「今後のグローバル化した世界で、生き残る人材に必要なのは『attitudes』である」と語っていた。

昔ドハティ氏がコンサルティング会社を経営していた時代、大きな成功を収めてきた優秀な人材達に「成功する秘訣」は何かをインタビューしてまわったことがあったという。それらの人材に共通していたのは、優秀なスキルや知識だけではなかった。
成功する秘訣は、「人生に向かう姿勢、そして仕事に向かう姿勢=attitude」であったのだ。
しかし、そのattitudeを保つためには、モチベーションが必要となる。では、どうすればモチベーションを高める事が出来るのか?

多くの成功者のモチベーションの秘訣は、「自分が頑張ることにより周り(家族、同僚、部下、上司など)が感謝してくれる」という、「人のために貢献する」気持ちであるとドハティ氏は言う。

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研修でも同じことが言える。自分はどんなことに貢献できるのか、それをチームメンバーと共有することが非常に重要である。例えば以前ドハティ氏が担当していた研修で、TOEIC300点台の受講者がいた。
彼は、全く英語を話す事ができず、第1回、2回目の研修ではほとんど話さなかったらしい。そんな彼のモチベーションを高めるため、そして自信をつけさせるために、ドハティ氏はその受講者の過去の成功体験を3つ書かせて、そこからどんなスキルを得たか、自分自身の強みも含めて書かせた。
つたない英語ではあったが、その受講者は一生懸命情熱を持ってそれを全員の前で発表した。その瞬間、メンバーの目が変わったという。

そして面白いことに彼が変わると、周りも少しずつ変わり始めた。彼に出来るのであれば私も出来ると全員のモチベーションが上がったのだ。そして、最終発表会では全員が役員から拍手喝采で、素晴らしいプレゼンテーションを披露した。彼は、皆のインスピレーションになったのだ。

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英語が出来ない、アンチグローバル、という受講者でも、普段の仕事ぶりなどから周囲に一目置かれているような影響力がある人の場合、多くの「実績」や「強み」を持っている。参加者同士が互いの「英語力」に目を向けるのではなく、個々のメンバーの強みに目を向けてもらうようにすることで、それぞれがその場にいる「意義」を感じてもらうことが大切だ。

人から認められ、自信をつけることで、徐々にマインドが変わり、よりオープンに様々な角度から物事を考えることが出来るようになる。その「変化」が、グローバル人材へと成長させるのである。
<終了後にディレクターの福田とドハティ氏と一緒に>
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